〜 寄せ植え 〜

種類の違う多肉植物を小さな鉢にギュッとバランスよく配置する彼女の指先。多肉植物はスペースが広すぎると形が変形するという。狭い中にあると形を保ったまま美しく生きてゆくらしい。説明しながら指先は動き続ける。ほどなく彼女の手元に小さな緑の世界が生まれた。

緑に縁あって

夏の夜に彼女は生まれた。病院から見た月が綺麗だったからと父が彼女の名前を付けたという。弟二人と共に佐世保で育った長女。お菓子作りが好きで、栄養士か料理人を目指し短大に進む。卒業後に気持ちは花へと移り、ハウステンボスで花に関わる仕事に就く。良き先輩に恵まれブライダル装花も経験。後に、働かせて下さいと重尾にあった「オランダの花やさん」(現在オランダが拠点)に飛び込む。店主の人柄に魅かれ花や植物だけでなく生活する全てに良き影響を受ける。縁あって出逢った男性は植物を生業にしている四代目。偶然って凄いなと思った。結婚を意識しつつ自営業を気にしていた彼だったが、彼女に迷いは無かった。大丈夫一緒にしようと彼についてゆく意志を示した。嫁ぎ先にも「葉」の縁があったよねと両親。仕事を辞める時に寂しくなるほど大好きな場所で働けた幸せな十年だった。

家族みんなで

結婚式の前撮りブーケは二人で作成。夫は優しく植物のように癒されると結婚七年目の彼女が照れながら話してくれた。毎週火曜は佐世保花市場へ夫の両親がトラックで植物の仕入れに行く。夫も子どもの頃から市場について行ったという。仕入れから戻るのを出迎え、みんなで車から降ろす。ビニールハウスや温室、屋外にもたくさんの植物がある。親子三代家族でひと手間かけてお客様のもとへ納める。祖父母から数えて曾孫に当たる子どもたちも活躍。大人が水かけをしていると、三歳と五歳の手で象さんジョウロを持つ。小さくても家業が分かっているようだと彼女が母の顔になって微笑む。切り花が得意。花束やリースなど色彩豊富なイメージを考えるのが楽しい。夫は植物が専門で多肉植物に夢中だと笑う。

命のバランス

「見ますか?」彼女が多肉植物を育てている場所へ案内してくれた。光の当たる明るいところで根を張るという多肉植物。ズラリと並んだ浅いプランター。爪の先ほど小さな葉が等間隔の種類別に並んでいる。なんとも可愛らしい光景だった。親の葉一枚から子の葉が育ち、子から孫が生まれる。親の葉は小さくシワシワになると役目を終える。根が張って葉が育ち大きくなったら植え替える。まるで映画のワンシーンのように根を付けた葉を手に選び取り、新たな場所へ移してゆく。優しい手に小さな命を乗せて愛でる様子が美しい。昨年四月に夫婦で「sheeplants」を立ち上げた。月に一回教室を開いて多肉植物の寄せ植え、フラワーアレンジ、リースなどの作り方を教えている。次回はコレをやりたいと言い出した方がメインになり、一方はサポート。パートナーシップのバランスも良好。

イベント

教室に加えてイベントにも出店。一年目は何が売れるのか見当もつかず手探りのスタートだった。とにかく自分たちの色を知ってもらえるようにと積極的に外に出て、地道に参加を重ねた。販売の他にワークショップも行う。子どもが生まれてから、小さな子どもが居ても親子で参加してお母さんが楽しめるような場を作れたらいいなと視野が広がった。レジャーシートを敷きブロックなどおもちゃを用意して雰囲気を作る。我が子も共にやってみるうちに、「今日はどこのイベント?」と子どもたちが聞いてくるようになった。幼稚園や保護者会、地域の依頼を受けて臨時教室も行う。秋に入るとクリスマスリース作り教室の問い合わせや予約が多くなる。求められると準備にも熱が入る。

未来予定図

作業場には二つの台が並んでいる。右側には普段から土が乗っていて植え替え作業が行われている夫の台。左隣の台は、彼女が実家の父にちょうだいと頼んで手に入れた工場にあった足場板で作られている。お互いを補いながら、隣に並んで別々の作業をすることも多い。いつか、小屋のような素朴で温かい建物にショップと植物管理ができる場所を自分たちで作りたいと夫婦で話している。「sheeplants」二年目の今、イメージは既にある。仕事をするなら、もっと気持ち良く楽しく。三年目に向けて形にしたい想いを胸に、目標を見据え、手元の仕事に情熱を傾けている。代々受け継がれてきた植物への愛を広げて育ててゆく。いつしか子どもたちが、お父さんとお母さんのお店と誇りにしてもらえるような場所になったら嬉しい。

部屋に植物を

大事なのは日当たりと風通し、そして水。植物は思っているより強い生き物。男性にも人気の多肉植物は身に水分があるから夏は断水、普段は霧吹き。冬に赤くなるのは紅葉するから。家にあるお気に入りの器の中でも多肉植物なら生きられる。花や植物が部屋にあると雰囲気は変わる。緑に触れると不思議と気持ちが優しくなる。マメでなくても共に生きてくれる観葉植物は存在しているから、日常に緑を取り入れるきっかけ作りが出来たら幸せ。緑の指を持つ彼女は、今日もその手で好きな花や植物に触れている。

生まれて活かされるのは
あなたが世界の一部を担っているから
光浴び葉を広げ咲き誇れ

松田 葉月 さん
sheeplants(シープランツ)
〒857-1152 佐世保市黒髪町10-1
FAX:0956-31-4112
https://www.facebook.com/shplnts/
https://ameblo.jp/sheeplants/

Plants:多肉、観葉植物
Flower:アレンジ、花束
Other :プラントハンガー
Lesson:リース、アレンジ、寄せ植えなど
ライター
CHIKA
信州在住・佐世保は第二の故郷 ブライダル・イベント・式典MC、ナレーター、ラジオ放送作家 mc_chika_love_wedding@yahoo.co.jp
女性は世の中の「花」だから。 月刊「はなはな」が創刊当初から伝えたい想いです。 「はなはな人」を読み終えたあなたが一人の女性としてあなたの場所で咲くエネルギーになったらと願っています。