〜 あなたとわたし 〜

女性二人の姿があった。優しく背中を押すような声と言葉。仕事着の彼女は、お客様の姿が見えなくなると振り返りこちらに微笑んだ。

同じ女性の為に

お客様を元気な笑顔でお迎えするには、まず自分が元気でいるのが使命と彼女が語る。女性は年齢を重ねると、周りの環境で役割や生き方が変化する。その影響で体やメンタルに不調が出てくることもしばしば。誰かに話すと心は軽くなるけれど、知り合いだから話せない部分もある。第三者だから話せる部分に耳を傾け、訪れる女性たちの心のケアを担う。薬や漢方はサポーター、体に働くには本人の良くなろうという気持ちが大事と彼女が言う。

自分の意志が後ろ盾

池島で商売をしていたという両親、兄と姉の五人家族。末っ子の彼女は佐世保で育った。社会人になり「将来、一生続けられる仕事は何だろう」と考えていたバブル絶頂期、薬の卸問屋に勤めていた二十代後半の頃に「調剤薬局をしよう」と閃いた。働きながら資格を取ろう。薬剤師さんに来てもらって私は営業と勉強をしようと準備を進めたが、お金無し、家業でもなく後継者でもない二十代独身女性にとって大変な道だと思い知った。薬局にお嫁入りしたらどうだろうかと遠回しなアドバイスにも驚いた。申請には店舗住所が必要な為、営業できないまま毎月家賃を払い続けた。許可は出ていない、親から反対されている、資格も取れていない。何故、薬屋なのか自らに問われる一年間。絶対叶えたい。経営理念の前に存続する!という意志表示を続けた。肚をくくった彼女は、調剤薬局の夢から一転して「薬店」を開業した。

神様のお手伝い

「産める期間ってあるんだな」と感じたのは四十代になってから。環境も整っていて、漢方も薬も身近にありながら彼女は悠長に構えていたという。女性に生まれて子宮を使わずに生きる自分の人生を考えて落ち込んだ。それでも、望む人の為に子宝さんのお手伝いができる。執着を手放そう。産める可能性があって望む方がいるのならサポートしよう。授からなかったら不幸なんて違う、ミクロの世界で命が育まれ、この世界に産まれた私たち全て一人一人が生きている奇跡だから。子宝相談のお客様が佐世保を離れても各地から電話を頂くご褒美。子宝さんの写真を見せてくれるお客様。自分に叶わなかったことを誰かが叶えてくれている。私には店が子どもみたいなもの。心からの「ありがとう」に素敵な仕事をさせて頂いて有難いなぁと、お客様の人生に貢献できた喜びに胸が熱くなる。

空を踏んでも

仕事で社会貢献したいと思いながら、商売として回していかないと社会貢献の前に経営が危うくなる。バランスが大事。お金だけではやっていけない。店舗を構えて二十八年、山あり谷あり。私生活では結婚・離婚を経験した。サポートしてくれる人たちの支えがあったから生きていられた。心に波はある。義務的に仕事をしている時期もあった。鬱にもなりかけた。お客様を笑顔で送り出し、店を閉めて涙が溢れてきた時期もある。誰しも共感、共鳴は出来る。でも体験したからこそ私が受け取れたこともある。何も無かったらきっと私は傲慢になっていたのかもしれない。心が痛い経験をしないに越したことはない、それでも、超えたなら少なくとも誰かの立場に立って寄り添える。

みんな変われる

季節毎のお茶で喉を潤し、お客様は彼女の前でホッと寛ぐ。体のトラブルの相談から心の滞りまで話して心が軽くなる。漢方で「気」「血」「水」を整えて本来の状態へ。ダイエットや体質改善もメンタルが大事。膝の負担の為、子どもの結婚式までにキレイになりたい、これまでの自分を変えたいなどお客様の理由はそれぞれ、目標へ一緒に進む。六十代、七十代の方々も彼女を訪ねる。痩せたら皺になるなんて不安はいらない。女性には、女性に生まれた喜びを感じて欲しい。いつまでも女性の気持ちを持っていて欲しい。はじめましての日から、表情が変わってゆく女性たち。止まったり悩んだりする時期も一緒に超える。自信が無くてパンツスタイルばかりだったという五十代の女性が、ようやくスカートが穿けると少女のような眼差しで彼女に感謝を伝える。艶やかに若返った姿。「お陰で人生が変わりました」笑顔の言葉は彼女にとって最大のご褒美。

せっかく生きているから

きっとたくさん心配をさせただろう両親が、やっと「よく頑張ったね」と、今は安心して見守ってくれているのが嬉しいと彼女が微笑む。家に待っている二匹の愛しい猫たち。癒しも必要、癒されて優しくなる。人生いろいろあって当たり前、いろいろあるから誰かの気持ちが分かる。自分が楽しめることをたくさんして、「ありがとう」を巡らせて生きてゆきたい。「寿命を考えたら私がこれから桜を見れるのは二十回くらい。せっかく今、生きているんだから楽しみながら明るく生きたいじゃない。」暗い方に目を向けそうになったら視点を変える。「ピンピンコロリまで、いくつになっても女性は元気でキレイでいていいの」彼女の励ましが今日も女性の背中を押している。

超えさせてもらえたのは
縁ある人たちの背中押しのおかげ
大きな命の流れの中で
わたしからあなたへ恩おくり

木下 三枝 さん
悩める女性のくすり屋さん くすりのたんぽぽ
佐世保市広田1丁目9-28
TEL.0956-38-5882
tanpopomk385882@yahoo.co.jp
ライター
CHIKA
信州在住・佐世保は第二の故郷
ブログ「『お花畑で寝転んで』大げさなくらいでちょうどいい実行委員長CHIKA」
https://ameblo.jp/whenyouwishuponastar0603/entrylist.html mc_chika_love_wedding@yahoo.co.jp
女性は世の中の「花」だから。
月刊「はなはな」が創刊当初から伝えたい想いです。
「はなはな人」を読み終えたあなたが一人の女性としてあなたの場所で咲くエネルギーになったらと願っています。