作:山野美樹

第二十三話 「孫悟空対二郎神」

 聖文女子学園の大川内勇一郎理事長は、理事長室の窓から運動場を見つめている。学園は高台という事もあり、運動場をはじめ体育館にも沢山の佐世保市民が非難場所として集まっていた。大川内はテレビの映像に目を向ける。画面には二つに割れた海に仁王立ちした二郎神の姿が映し出されていた。
「二郎神様がお姿を現された。何とか美猴王を退治してくれると良いのだが・・・。それにしても、いったい誰が結界を破ってしまったんだ」
大川内はイライラしながら小田校長に問いかける。校長は困り果てた様に首を傾げた。巨大な猿は突如現れた二郎神の姿に動きを止める。人々は巨大な二郎神の姿に驚愕しながらも、その神々しいオーラに不思議な安堵感を感じていた。二郎神と巨大な猿は多目的ホール アルクス佐世保の建物を境に、お互いに威嚇しながらにらみ合いを続けた。巨大な猿は胸を叩きながら雄たけびを上げ、二郎神は怒りの表情のまま両腕を広げる。その瞬間、山が動いた。アルクス佐世保を踏み壊しながら巨大な猿が、二郎神に飛びかかっていく。巨大な二体が組み合った瞬間、とてつもない振動が佐世保市内に襲い掛かる。ついに体長四十メートルを超える巨体同士の肉弾戦が始まった。二郎神の強烈なパンチが巨大な猿の顔面にヒットする。たまらずよろめく巨猿に二郎神がすかさず足払いを仕掛ける。巨大な猿はバランスを崩し、戸尾交差点を押し潰しながら倒れこんだ。

 「これ、どっちが優勢なんですかね?」
西東警部はまるでプロレス中継を見ている様に、秋山警部補に問いかけた。
「う〜ん、どうなんでしょう。初めは二郎神の方が攻め込んでましたけどね。でも孫悟空の方が動きが速いですよね。あっ、二郎神が倒れた!」
秋山が驚きの声を上げる。五反田刑事の悲鳴と共に、佐世保烏帽子岳署の建物が振動で大きく揺れた。倒れた二郎神に巨大な猿が上から覆いかぶさる。動きを封じ込められた二郎神の顔面を、馬乗りの体勢から巨大な猿が一方的に殴りつけていた。たまらず防戦一方となる二郎神に、巨猿は自信満々の表情を浮かべる。その瞬間、佐世保市の上空で、何かがキラリと黄金色に輝いた。

この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。